ひとことで言うと:グラフェンは、粉のまま使うことはほとんどなく、樹脂・ゴム・塗料・糸・電池の材料などに少し混ぜて性能を引き上げる使い方が中心です。電池・放熱・複合材料・塗料・繊維では製品になっていて、半導体・水処理・医療は研究が進んでいる段階です。
1. グラフェンの使い方の基本
グラフェンは、炭素原子が六角形に並んだ厚さ1原子のシートで、強い・軽い・電気を通す・熱を通す・ほぼ透明、という性質を一つで持っています(詳しくはグラフェンとは)。
ただし、グラフェンだけで大きな部品を作るのは難しく、費用もかかります。そのため実際には、ほかの材料に少量を混ぜ、その材料に「電気を通す」「熱を逃がす」「強くする」といった性質を足す使い方が主流です。どんな形で供給されるか(粉末・分散液・樹脂に練り込んだペレット・フィルム)も、用途によって変わります。
2. 性質と用途の対応
| 分野 | 使われ方 | 生かしている性質 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 電池・蓄電 | リチウムイオン電池の導電助剤、キャパシタの電極 | 電気を通す・表面積が大きい | 実用化 |
| 放熱 | スマートフォン・パソコンの放熱シート、放熱塗料 | 熱を通す | 実用化 |
| 複合材料 | 樹脂・ゴム・コンクリートの補強(スポーツ用品・タイヤ・建材) | 強い・軽い | 実用化 |
| 塗料・コーティング | さび止め塗料、導電性塗料、車のコーティング剤 | ガスや水を通しにくい・電気を通す | 実用化 |
| 繊維・衣料 | 糸に練り込んだ機能性繊維、導電性の糸 | 熱を通す・電気を通す | 実用化 |
| 半導体・電子部品 | 高速トランジスタ、透明電極、フレキシブル基板 | 電気を通す・透明・曲げられる | 研究〜一部実用 |
| センサー | ガス・圧力・生体センサー | 表面積が大きい・電気を通す | 研究〜一部実用 |
| 水処理 | 海水の淡水化や浄水のろ過膜 | 細かい網目・表面積が大きい | 研究 |
| 医療・バイオ | 薬を運ぶしくみ、検査用センサー | 表面に分子を付けやすい | 研究 |
3. 電池・蓄電
リチウムイオン電池の電極には、電気の通り道を作る「導電助剤」が混ぜてあります。グラフェンは薄く広いシートなので、少ない量で電極の中に電気の通り道を広げられます。電池を速く充電する、長持ちさせるといった改良に使われています。電気をためる部品(スーパーキャパシタ)の電極にも、表面積の大きさを生かした研究と製品化が進んでいます。
4. 放熱・熱対策
グラフェンは熱を伝える速さが、知られている物質の中で最高クラスです。この性質を生かし、スマートフォンやノートパソコンの内部で熱を広げて逃がす放熱シートや、放熱塗料に使われています。機器が小さく高性能になるほど熱対策は重要になり、グラフェンの用途として広がっている分野です。
5. 半導体・電子部品・センサー
グラフェンの中では電子がとても速く動けるため、高速のトランジスタや通信部品の材料として研究されています。ほぼ透明で曲げられることから、タッチパネルや折り曲げられる画面の透明電極も候補です。一方、グラフェンには電気の流れを止める「スイッチ」の性質(バンドギャップ)がないため、今のシリコンの半導体をそのまま置き換えるのは難しく、研究が続いています。
表面積が大きく、周りの物質に反応して電気の流れ方が変わるため、ガス・圧力・生体分子を測るセンサーとしての開発も進んでいます。
6. 複合材料
樹脂・ゴム・コンクリートなどに少量のグラフェンを混ぜると、強さや耐久性を高められます。テニスラケットや自転車のタイヤ、ゴルフ用品などのスポーツ用品で製品化されているほか、自動車部品や建材での利用も進んでいます。軽さを保ったまま強くできるのが利点です。
7. 塗料・コーティング
グラフェンの網目は細かく、完全なシートは小さな気体の分子もほとんど通しません。塗料に混ぜると、水や酸素が金属まで届きにくくなり、さび止めの効果を高められます。電気を通す塗料や、車のボディのコーティング剤にも使われています。
8. 水処理・フィルター
グラフェンや酸化グラフェンのシートを積み重ねた膜で、水と塩やほかの物質を分ける研究が進んでいます。海水の淡水化や浄水への応用が期待されていますが、大きな膜を安定して作ることが課題で、多くは研究段階です。酸化グラフェンについては酸化グラフェンとはで説明しています。
9. 繊維・衣料
ポリエステルやナイロンの糸にグラフェンを練り込むと、糸そのものに機能を持たせられます。表面に後から付ける加工に比べて、洗濯で落ちにくい構造です。インナー・寝具・ユニフォーム・作業服・ソックスなどに使われています。
当社のグラフェン複合繊維は、抗菌防臭・抗ウイルス・防ダニ・防カビ・遠赤外線の機能を持ちます。介護・医療・ホテル向けのリネンにも使われています。→ グラフェン繊維の事業案内
グラフェン繊維を使ったリカバリーウェアでは、体温を受けた繊維が遠赤外線を放ち、血行を促進します。当社のリカバリーウェアは「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として一般医療機器の届出を行っています。→ リカバリーウェアとは
10. 化粧品・包装
グラフェンをさらに小さな粒にしたグラフェン量子ドットは、液体や樹脂に混ぜやすいことから、シャンプーやボディソープなどの原料、食品用ラップなどの抗菌フィルムへの活用が進んでいます。当社も、これらの原料としてグラフェン量子ドットを供給しています。→ グラフェン量子ドットの事業案内
11. 医療・バイオ(研究段階)
グラフェンや酸化グラフェンは表面に別の分子を付けやすいため、薬を体の必要な場所へ運ぶしくみや、病気の目印を見つける検査用センサーの研究に使われています。人の体に直接使う用途は、安全性の確かめも含めて研究段階です。
12. よくある質問
- グラフェンは何に使われていますか?
- リチウムイオン電池の導電助剤、スマートフォンなどの放熱シート、樹脂やゴムの補強(スポーツ用品・タイヤ)、さび止め塗料、機能性の繊維などで製品になっています。半導体・センサー・水処理・医療では研究が進んでいます。
- グラフェンが身近な製品に使われている例はありますか?
- テニスラケットや自転車のタイヤなどのスポーツ用品、スマートフォンの放熱シート、車のコーティング剤、グラフェンを練り込んだ衣類や寝具などがあります。
- グラフェンは半導体に使われていますか?
- 高速トランジスタや透明電極などで研究が進んでいますが、グラフェンには電気の流れを止めるバンドギャップがないため、シリコンの半導体をそのまま置き換える段階には至っていません。
- グラフェンはなぜ電池に使われるのですか?
- 薄く広いシートで電気をよく通すため、少ない量で電極の中に電気の通り道を作れるからです。充電の速さや寿命の改良に使われています。
- グラフェンを使った衣類にはどんな特長がありますか?
- 糸に練り込む方式では、グラフェンが繊維の内部に固定されるため、表面に付ける加工に比べて洗濯で落ちにくい構造です。当社のグラフェン複合繊維は、抗菌防臭・抗ウイルス・防ダニ・防カビ・遠赤外線の機能を持ちます。
- グラフェンを自社の製品に使いたい場合はどうすればよいですか?
- 用途・必要な性能・数量によって、適したグラフェンの種類や配合が変わります。当社は原料供給から、糸・生地・製品のOEM/PBまで対応していますので、お問い合わせください。