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Graphene Quantum Dots Guide

グラフェン量子ドットとは?
グラフェンを、ナノの粒にした素材。

グラフェン量子ドット(GQD)は、グラフェンのシートを、目に見えないほど小さな粒にしたものです。小さくするだけで、シートのときにはなかった性質が表れます。このページでは、名前の由来、グラフェンやほかの量子ドットとの違い、性質、作り方、用途を順に説明します。

公開:2026年10月6日|監修:株式会社J.C. Technology(グラフェン・グラフェン量子ドットの研究開発・生産・販売)

ひとことで言うと:グラフェン量子ドットは、炭素だけでできたグラフェンのシートを、数ナノメートルの粒にした材料です。粒が小さくなると光や電子のふるまいが変わり、水になじみやすくなるため、シートのグラフェンとは違う使い方ができます。

1. グラフェン量子ドットとは

グラフェン量子ドット(Graphene Quantum Dots、GQD)は、グラフェンを、ナノメートル(1ミリの100万分の1)単位の小さな粒にした炭素材料です。1層または数層のグラフェンでできていて、大きさは研究では一般に数ナノメートルから十数ナノメートルとされます。当社のグラフェン量子ドットは、大きさ5ナノメートル未満です。

シート状のグラフェンが「平らな2次元の材料」なのに対し、グラフェン量子ドットはどの方向にもごく小さい「点(0次元)」の材料として扱われます。グラフェンそのものについてはグラフェンとはで説明しています。

グラフェン量子ドットの粒子のイメージ
グラフェン量子ドットは、グラフェンのシートを数ナノメートルの粒にしたものです。

2. なぜ「量子ドット」と呼ぶのか

物質をナノメートルの大きさまで小さくすると、中の電子が動ける範囲が狭くなり、電子のエネルギーのとり方が変わります。これを量子閉じ込め効果と呼び、この効果が表れるほど小さな粒を「量子ドット」と呼びます。

大きなシートのグラフェンは電気をよく通す一方、光を受けて決まった色に光る性質はほとんどありません。ところが粒を小さくすると、電子のエネルギーに「すき間(バンドギャップ)」ができ、光を当てると蛍光を出すようになります。光る色は、粒の大きさや表面の状態によって変わります。この蛍光は、研究分野でグラフェン量子ドットが注目される大きな理由の一つです。

3. グラフェンとの違い

グラフェングラフェン量子ドット
かたち平らなシート(2次元)ナノメートルの粒(0次元)
大きさ横幅は数百ナノメートルから数センチまで数ナノメートルから十数ナノメートル(当社品は5ナノメートル未満)
電子の性質バンドギャップがなく、電気をよく通すバンドギャップができ、蛍光を出す
水へのなじみなじみにくい粒の端に付いた官能基のため、なじみやすいものが多い
主な使われ方電池・放熱・複合材料・繊維素材への機能付与(繊維・フィルム・化粧品原料)、蛍光を使う研究

同じ炭素のシートが元になっていても、大きさが違うと使い道が変わります。粒が小さく液体に混ぜやすいため、繊維や樹脂に練り込んだり、液体の原料に加えたりしやすいのも、グラフェン量子ドットの特長です。

4. ほかの量子ドットとの違い

「量子ドット」という言葉は、テレビやディスプレイの分野でも使われます。量子ドットの発見と合成は、2023年のノーベル化学賞(モンジ・バウェンディ氏、ルイス・ブルース氏、アレクセイ・エキモフ氏)の対象にもなりました。

種類材料特徴
グラフェン量子ドット(GQD)炭素(グラフェンの層構造を持つ)重金属を使わない炭素材料。水になじみやすく、化学的に安定
カーボンドット(CD・CQD)炭素(はっきりした層構造を持たないものも含む)球状の炭素ナノ粒子。研究ではグラフェン量子ドットと近い材料として扱われ、呼び分けの境目はあいまい
半導体量子ドットカドミウム・セレン・インジウムなどの化合物鮮やかに光る。ディスプレイなどで実用化。材料によっては重金属を含む

グラフェン量子ドットは、炭素でできているため重金属を含まない点が、半導体量子ドットとの大きな違いです。当社のグラフェン量子ドットも、クロム・鉛などの毒性の高い金属元素を含みません。

5. 主な性質

  • 非常に小さい:数ナノメートルの粒なので、繊維・樹脂・液体の中に均一に混ぜやすくなります。
  • 水になじみやすい:粒の端に酸素を含む官能基が付いていることが多く、水に分散させやすい性質があります。
  • 化学的に安定:炭素の骨格でできているため、酸やアルカリに強く、構造が安定しています。
  • 蛍光を出す:光を当てると光る性質があり、研究分野では目印やセンサーとして使う試みが進んでいます。
  • 表面積が大きい:粒が小さいぶん、重さあたりの表面積が大きく、周りの物質と触れ合う面が多くなります。

※ 性質は、作り方・大きさ・表面の官能基によって変わります。

6. 作り方

グラフェン量子ドットの作り方は、大きく2つに分けられます。

方法やり方特徴
トップダウン(切り出す)グラフェン・酸化グラフェン・炭素繊維などの大きな炭素材料を、細かく切り分ける研究では強い酸による酸化や、水熱処理・電気化学処理で切り分ける方法が多い
ボトムアップ(組み立てる)クエン酸などの小さな分子を加熱し、炭素の網目を組み立てる大きさをそろえやすい一方、層構造のはっきりしない粒もできやすい

当社のグラフェン量子ドットは、自社の研究開発・製造拠点(中国)で、強い酸を使わない純物理法により生産しています。グラフェンそのものの作り方はグラフェンの作り方で詳しく説明しています。

7. 用途

研究分野で検討されている用途

  • 蛍光を使った目印(バイオイメージング)やセンサー
  • LED・太陽電池などの光や電子に関わる部品
  • 化学反応を助ける触媒

※ いずれも研究段階のものを含みます。

当社が供給している用途

当社は、グラフェン量子ドットを素材に機能を持たせる原料として供給しています。繊維などに加えることで、次の機能を持たせられます。発揮の程度は、用途や配合によって変わります。

  • 繊維・不織布

    機能性繊維

    ポリエステル・ナイロンの短繊維、フリース、不織布に。抗菌防臭・抗ウイルス・防ダニ・防カビの機能を持たせ、下着・子ども服・寝具・介護リネンなどに使われています。

  • 包装

    抗菌フィルム

    食品用ラップなどのフィルムに練り込み、抗菌・防カビの機能を持たせます。

  • 化粧品・トイレタリー

    原料

    シャンプー・ボディソープなどの原料としての活用を進めています。

詳しくはグラフェン量子ドットの事業案内をご覧ください。グラフェン全体の用途はグラフェンの用途にまとめています。

8. 安全性について

グラフェン量子ドットは炭素でできた材料で、半導体量子ドットのようにカドミウムなどの重金属を使いません。当社のグラフェン量子ドットは、クロム・鉛などの毒性の高い金属元素を含まない無機材料です。

粉末や分散液を工場などで扱う場合は、ほかのナノ材料と同じように、吸い込まないための換気やマスクなどの対策が推奨されています。製品への配合を検討される場合は、用途に合わせた資料をご用意しますのでお問い合わせください。

9. よくある質問

グラフェン量子ドットとは簡単に言うと何ですか?
炭素原子が六角形に並んだグラフェンのシートを、数ナノメートルの小さな粒にした材料です。小さくすることで、光や電子のふるまいなど、シートのときとは違う性質が表れます。
グラフェン量子ドットとグラフェンは何が違うのですか?
グラフェンは平らなシート、グラフェン量子ドットはそのシートを数ナノメートルの粒にしたものです。粒にするとバンドギャップができて蛍光を出すようになり、水にもなじみやすくなります。
なぜ「量子ドット」と呼ぶのですか?
ナノメートルの大きさまで小さくすると、量子閉じ込め効果によって電子のエネルギーのとり方が変わります。この効果が表れるほど小さな粒を量子ドットと呼びます。
テレビに使われる量子ドットと同じものですか?
違います。テレビやディスプレイの量子ドットは、主にカドミウムやインジウムなどを含む半導体の粒です。グラフェン量子ドットは炭素でできていて、重金属を使いません。
カーボンドットとは違うのですか?
どちらも炭素のナノ粒子で、研究では近い材料として扱われます。一般に、グラフェンの層構造を持つものをグラフェン量子ドット、層構造のはっきりしない球状のものをカーボンドットと呼びますが、呼び分けの境目はあいまいです。
グラフェン量子ドットは何に使われていますか?
研究分野では、蛍光を使った目印やセンサー、LED、太陽電池、触媒などが検討されています。当社は、繊維・不織布・フィルム・化粧品原料に加えて、抗菌防臭・抗ウイルス・防ダニ・防カビの機能を持たせる原料として供給しています。
グラフェン量子ドットは、どうやって作るのですか?
大きな炭素材料を細かく切り分ける方法(トップダウン)と、小さな分子から組み立てる方法(ボトムアップ)があります。当社は、強い酸を使わない純物理法で生産しています。
グラフェン量子ドットを購入したり、製品に配合したりできますか?
できます。当社は、グラフェン量子ドットの原料供給から、繊維・フィルム・製品のOEM/PBまで対応しています。用途と数量をお問い合わせください。